大会展望

「第5回世界空道選手権大会」最終予選「18全日本空道体力別大会」を展望して  

塾長 東孝

 

【初めに】
・日本選手の出場は、海外選手の出場者数により、少ない-230、-240辺りが3~4名、逆の重いクラスが2~3名となる。
第3回アジア大会からクラス分けは、未満(例-230クラスは229.9999等)ではなく、以下(例-0230クラスは230.000丁度まで)になっている。
選手の選考は直近の3大会の内、最低2大会に出場し、高得点の2大会の合計点の高い選手より選ばれる。

【予選の配点】
①2017全日本体力別:優勝8点、準優勝4点、3位3点、4位2点、ベストエイト5点
②2017アジア選手権:優勝10点、準優勝5点、3位4点、4位3点、ベストエイト0.75点
(2017秋の各地区大会・空道ルール部門にて優勝・準優勝しつつ、2017アジア選手権に出場できなかった者に関しては、優勝0.5点、準優勝0.25点を付与)
③2018全日本体力別:優勝12点、準優勝6点、3位5点、4位4点、ベストエイト1点 

試合の見どころ
【予選の配点】 に従って4位まで選手を選ぶと、点数的には確定したように見えるが、そうとは言えない。理由は、大会半年前の今回の「18体力別」の配点は最も高いから、上位3選手が万が一、緒戦で…という事になって、下位の選手が優勝や準優勝となった場合などは、大逆転もありうるから!! 上位者も下位者も、互いに、油断も、安心も禁物だ。

-230 は1~3位は谷井翔太〔横須賀〕(14点)と目黒雄太〔長岡〕(13点)、中村知大〔御茶ノ水〕(10点)の3人が先行している。4位、近田充〔多賀城〕(4.5点)、5位、菊池逸斗〔横浜北〕(3.75点)との差があり過ぎる気がするが、上位3者に“万が一”があった場合は【初めに】の通りだし、4位5位同士についても、今度の体力別で菊池の方が上に行くと、順位は逆転する。また万が一、この二人がベスト4位に入らないで、ベスト8(+1点)以下となって、もっと下位の若手の伸び盛り小野葉嗣〔塩釜〕(0.5点)などが上位に入った場合もこれ又、大逆転となる。

-240 は日本人では最も層の厚い階級で実力が伯仲しているためか、上位が毎回入れ替わり安定感に欠ける感じがする。神代雄太〔吉祥寺〕(12点)のみが10点以上で、以下は2位の巻礼史〔筑紫野〕が(5.5点)。 3位についていた田中洋輔〔御茶ノ水〕(4,75点)がアジア大会でのけがで欠場なために、川下義人〔日進〕(3.5点)、服部晶洸〔横浜北〕(2.75点)と僅差で続いているので、この下の若手にも大逆転のチャンスがある。

-250 は山崎順也〔総本部〕(14点)、加藤智亮〔誠真会館東伏見道場〕(13点)が10点越えで安定しているが、最近メキメキ実力をつけている安富北斗〔札幌南〕(4.5点)、ベテランの藤田隆〔秋田〕(3点)、関東予選で決勝まで進んだ渡邉憲正〔早稲田〕(0.75点)と続く。渡邉と藤田隆(3点)のどちらがブロックを制するかでベスト4が決定する。

ヽ(*´▽`)◆ゞ Tea-Time ♪

突き、蹴り、投げ、締め、関節とあらゆる武道、格闘技の要素を含む空道は、習得すれば殆んど「鬼に金棒」だが「最も効果的な顔面への打撃」は、より反射神経やスピ-ドを要求される。

しかし、軽いクラスの多い日本人としては、-260辺りから、日本人としては大型、超大型になるので、普段、軽量の相手と練習することになり、体格で圧倒出来るために、動きが緩慢になる傾向がある。もっともっと多くの、他武道の大型選手の挑戦を待ちたいところである。

これ以上の重いクラスは、指数で言えば、180cm+80kg=260以上となるが、日本人と平均で、身長、約10cm、体重、約10kg違う欧米人はザラにいるように、選手も同様で、海外選手はこの辺のクラスの層が厚い。

その中で“選ばれてきた選手”と同じ階級で戦うためには、重いクラスになればなるほど、日本選手はウェイトレーニングなどで筋力差を少しでも縮めることで、まず同じ土俵に上がることを要求される。この国内予選を通過した選手には心がけて貰いたいものだ。

-260 は本命の清水亮汰〔総本部〕(18点)が海外遠征で欠場となるので、加藤和徳〔吉祥寺〕(9点)、伊藤新太〔日進〕(7点)が2 Topで、押木英慶〔新潟〕(3.75点)、辻野浩平〔岸和田〕(2.75点)の三位、四位争い。渡部秀一〔岸和田〕(1.25点)、麦谷亮介〔行徳〕(0.5点)も優勝、準優勝すれば、一発逆転の可能性はある。

-270 前述したように、重量級は国内大会では層が薄いので、-270と270+を260+として一緒にして組み合わせるから、上位は270+が占め、-270以下の選手でポイントを持っている選手が一人もいない。今回の結果で松岡陽太〔総本部〕(体力指数270)、豊田将希〔北河内〕(体力指数270)、アハマド諒ハリス〔四日市〕(体力指数262)などにもチャンスが生まれる。

270+ は、元東海大学柔道部レギュラーで、[(2014)全日本柔道選手権大会]でベスト16の経験があり、空道転向2年目にして無差別を制した野村幸汰〔札幌西〕(14点)、ジュニアから優勝街道を驀進し16年には念願の一般部最重級で優勝した岩崎大河〔総本部〕(12点)の二人が圧倒的な安定感がある。もし3人出られるのなら、今回未出場だが過去2大会で4点を持っている洞口周一郎〔仙台東〕、2点の

前田聡〔大宮〕だが、安定的とは言えないから、大学のラガーメンで、空道歴3年のパワーファイター、五十嵐健史〔高尾〕にもチャンスはある。

一般部 体力別技術展望

女子220以下
優勝候補は昨年、アジア大会を制した作田千代美〔草加〕だが、アジア大会ではハイキックや横蹴りなど蹴り技の得意な小柳茉生〔新潟〕に一敗している。もう一人の大倉萌〔吉祥寺〕は昨年、春の体力別で小柳に勝利し初優勝を果たした打・投・極の全てをこなすオールラウンダーで、この3者が、と思っていたが、練習中のケガで欠場となった。処が、この2人に小学校から大学までの柔道と、最近では打撃技術にも心境著しく、2016年体力別で優勝している渡邉富紀恵〔神戸〕が、2年のブランクを乗り越えてママさん選手として復帰し、やはり三つ巴戦の様相を呈してきた。関東予選で大倉、小柳に負けているが、総合格闘技経験者の熊谷鞠月〔早稲田〕のリベンジにも期待したい。

女子220
絶対王者の大谷美結〔札幌西〕が仕事の関係上、出場できないこの階級。2015年投げを封じヒット&アウェイで大谷を下して初優勝している今野杏夏〔多賀城〕が打撃の強さ、テクニックで頭一つ抜けた存在である。対抗馬は、関東予選で吉倉を下して初出場初優勝している内藤雅子〔横浜北〕。昨年、体力別で準優勝している吉倉千秋〔横浜北〕。今野、内藤へリベンジできるか。

男子230以下
昨年、変幻自在な構えと動きで翻弄し、目黒を下してリベンジ優勝を果たした谷井翔太〔横須賀〕が仕事の関係上、欠場。優勝候補は第四回世界大会で優勝し、昨年、アジア大会に一階級上げ復帰し見事優勝を果たしている中村知大〔御茶ノ水〕と体力別三連覇の王者目黒雄太〔長岡〕である。この2人は世界大会の準決勝でも対戦しており、その時は中村が締めで一本を取っているため、四年ぶりの再戦が楽しみである。そこに世界大会ぶりに復帰するムエタイスタイルで組打撃が得意な末廣智明〔吉祥寺〕が加わる。末廣は2013年体力別の決勝で目黒を倒して優勝し、続く2014年体力別で準決勝で中村、決勝で谷井を破って優勝していて、四年ぶりに王座奪還となるか、期待したい。昨年、体力別では目黒を倒し、アジア大会では三位の近田充〔多賀城〕、その近田を東北予選で倒した全日本初出場でジュニア上がりの小野葉嗣〔塩釜〕、同じくジュニア上がりで昨年の体力別でベスト4で流れるようなスピード感ある打撃で相手を翻弄する菊地逸斗〔横浜北〕、その菊地を関東予選でアキレス腱固めで一本勝ちし初優勝した漆館宗太〔横浜北〕、予選三連覇で2015年無差別7位の小芝裕也〔関西宗〕、九州沖縄予選で軽量級ながら無差別級を制した野﨑允裕〔筑紫野〕、この新人、ベテランの選手たちが、中村、目黒、末廣にどこまで迫れるか注目だ。

男子240以下
2017年体力別で神代と決勝を争った田中洋輔〔御茶ノ水〕がケガで欠場。2017年体力別で初優勝してからどんどん力を上げてきている神代雄太〔吉祥寺〕が優勝候補筆頭か。その神代と三度対戦し二勝一敗の川下義人〔日進〕が2015年以来、届いていない優勝を飾れるか。昨年、アジア大会で川下を下して準優勝しているベテラン巻礼史〔筑紫野〕、今回、2015年ぶりに復帰するムエタイスタイルの國枝厚志〔秋田〕、アジア大会では投げからのグランドテクニックを見せた東北チャンピオン越後暢介〔仙台東〕、打・投・極と安定した服部晶洸〔横浜北〕のブレイクにも期待したい。新たな若武者登場となるか??全日本ジュニア三連覇、世界ジュニアチャンピオンの曽山遼太〔岸和田〕が一般デビューでどこまで行けるか???注目だ。寺口法秀〔横浜北〕のアグレッシブな戦いにも期待したい。

男子250以下
2017年は体力別、アジア大会と二大会連続で決勝戦を繰り広げた山崎順也〔総本部〕加藤智亮〔誠真会館東伏見道場〕が今回も優勝候補か?三戦二勝一敗と山崎が現在リードしているが山崎がさらに差を見せつけるか、加藤が追いつくか二人の四戦目に注目される。アジア大会三位、北海道予選三連覇、帯広支部のジュニア出身で現在は札幌南支部で修行している北海道のホープ、安富北斗〔札幌南〕。2015年体力別決勝で加藤とポイントを奪い合う試合をした、自衛隊だけあって優れた身体能力から繰り出される重いストレートの藤田隆〔秋田〕。関東予選では圧倒的強さを見せ、グランドでの一本勝ちが多かったが打撃にも良いものを持っている仙台東支部のジュニア出身ルーキー、渡邉憲正〔早稲田〕は現在は早稲田準支部に所属し本部への出稽古を重ね力を急激に伸ばしている。優勝候補の山崎、加藤の二人に割って入る可能性もあり注目が集まる。昨年、秋関東予選で260以下クラスの押木を、日本拳法独特のストレートで圧倒する大金星を挙げた異色のドクター望月將喜〔総本部〕の番狂わせも注目の一つである。

男子260以下
2017年体力別、アジアと優勝した清水亮汰〔総本部〕が今回は海外指導で欠場。優勝候補はその清水とアジア大会で決勝を争った、全日本体力別二度優勝、世界大会・ワールドカップ3位の加藤和徳〔吉祥寺〕。その加藤に2016年無差別で勝利、パンチの回転が速い辻野浩平〔岸和田〕、無差別二年連続ベスト4の押木英慶〔新潟〕、昨年、全日本体力別で辻野に勝利し準優勝し、着々と力をつけてきた伊藤新太〔日進〕らと多士済々。加藤とどう戦うか楽しみである。関東予選決勝で押木と競った麦谷亮介〔行徳〕、締め関節やアキレス腱固めの得意な、14,16体力別準優勝のベテラン渡部秀一〔岸和田〕の復活がなるか?

男子260
188センチ112キロの体格を誇り、柔道では一流入りと認められる「全日本選手権」(2014年)でベスト16入賞後、空道に転向し、15,16年の260+優勝、16無差別優勝、16年「第2回ワールドカップ準優勝」、17年の「第3回アジア大会」優勝の野村幸汰〔札幌西〕と、15,16年と260+の決勝で野村に敗退していたが、3度目の対決の17年、260+ では寮生の計量量が生きたか、野村の投げを徹底して封じ、逆に打撃で圧倒し文句なしの勝利で初優勝した岩崎大河〔総本部〕とのがっぷり四つ。昨年、岩崎はアジア大会で2敗し敗退。一方の野村は安定した戦いで優勝している。上り坂とは言え、武道経験では数年の差がある岩崎、昨年の雪辱をできるか?はたまた、14年の「第4回世界大会」で怖いもの知らずでロシア勢に向かって行き、フロック的ながら第2位となり、「次は優勝!」意気込む野村。この二人の対決に注目したい。関東予選でキーナンを圧倒した大学のラガーメン、五十嵐健史〔高尾〕、その五十嵐から寝技の効果で勝利した空道歴1年弱の19歳の新鋭松岡陽太〔総本部〕、西日本地区を制したアハマド諒ハリス〔四日市〕。この三人が岩﨑、野村の二人にどのような戦い展開できるのか?それによって、世界大会の-270クラスの選手としての光明が見出せるのだが・・・・・。健闘を期待したい。

2018全日本空道シニア選抜選手権大会・展望

全日本空道連盟広報部

1 はじめに

 全日本空道シニア選抜選手権大会が,春の北斗旗全日本体力別選手権と同日開催されるようになって8年となる。年々,大会を重ねる毎に参加人数も増え,今大会では42名が参戦,7階級に分かれて熱い戦いが繰り広げられる。

シニアの試合は,その大会毎に出場選手決定後、身長+体重の「体力指数」から年齢を引いた「シニア体力指数」による階級分けで実施される。試合数についても,ダメージを考慮し優勝まで1日3試合までを上限とすることになっており,それぞれの階級の狭間にいるシニア選手は,大会当日まで自分がどの階級で戦うのかが分からないようになっている。これがシニアの大会の面白さの要因の一つともなっており,前年度重量級で出場していた選手が,今年は中量級で戦うことになる,というようなことが実際に起こりうる。それぞれの階級の優勝者経験者が対戦することも珍しくない。

今大会出場者のほとんどが,過去の全日本シニア選抜,各地区のシニア交流戦の上位入賞者である。何度も大会に参戦している勘の良いシニア選手は,この参戦人数と階級の数だけでおおよそ自分の階級が予想できてしまうきらいがあるが,公平公正を期するために,階級を大まかに軽量級グループ,中量級グループ,重量級グループの3つに分けて,注目選手にスポットを当てながら,大会の展望についてまとめてみた。

  • シニアの試合の面白さは、“選手”としてだけではなく、“社会人”としても実社会で活躍している様々な職業の人たちが仕事の合間を縫って、もしくは調整して練習を重ねることで、社会生活と武道との両立をさせようと“闘って≒葛藤”している所にもあり、多くの選手は会社員が多いが、中には異色の経歴や自営業の人たちもおり、組合せ欄で目に付いた職業や、口コミ情報を元にフォーカスしてみた。
  • シニアのクラス分けは一般の身長数値+体重数値から年齢を引いて、年齢によるハンディを減じている。試合数についても,ダメージを考慮し優勝まで1日3試合までを上限とすることになっており,それによってクラス分けの基準値が変わるために、無理な減量は意味がなく正に自然体で戦うことになる。従って、それぞれの階級の狭間にいるシニア選手は,大会当日まで自分がどの階級で戦うのかが分からないようになっている。これがシニアの大会の面白さの要因の一つとなっており,前年度重量級で出場していた選手が,今年は中量級で戦うことになる,というようなことが実際に起こりうる。それぞれの階級の優勝者経験者が対戦することも珍しくない。

2 軽量級グループ

 このグループの注目は,14年軽量級優勝の糸永直樹(草加、社会福祉士),15,16年軽量級連覇の水野栄治(多賀城、美容師),17年軽量級優勝の桐田淳利(仙南、会社員),の3名であろう。バトラーツ仕込みのテイクダウン&グラウンドに頭一つ抜けている糸永,一発でKOを狙える剛腕の水野,柔道仕込みの投げからの極めが得意な桐田,それぞれに強い個性をもつ3者の絡みは,どれをとってもシニアファン垂涎のカードとなろう。

これらチャンピオンたちに一敗地にまみれている,大宮 真(横浜北、不動産)佐藤嘉紘(新潟、電気工事士)のリベンジにも注目。 

13年軽中量級,16年中量級で優勝を果たし,近年は一般部軽量級にも挑戦しているトータルファイター岡田季之(仙台東)は日本でも有数の猫専門の獣医師だ。14年軽量級準優勝,16年中量級準優勝の実績十分のベテラン波田正俊(大宮、会社員),16年中量級準優勝菅 剛志(横浜北、エンジニアリング会社),初参戦、タイ出身のアヌチャー・ラッサミーヤン(札幌西、ムエタイインストラクター)の他選手との絡みも注目。

3 中量級グループ

 このグループは,大会常連のベテラン勢に,比較的キャリアの浅い伸び盛りの選手がバランスよく参戦する。まずは12年中量級優勝の今松 健(神戸所属。会社員、現総本部)。今松は一流企業に勤め、海外滞在員時代はフルコンをしていたが、遠征中の空道に触れ帰国後に空道ファイターに転身した“闘うサラリーマン”。持ち前のシェアな打撃に加えて,近年は高専柔道ルールの大会にも挑戦するなど着実に地力を蓄えてきている。09年中量級準優勝,14年中量級準優勝,15年中量級優勝の平石哲也(行徳、会社員)は,その豊富な試合経験からクレバーな試合の組み立てが印象的な好選手。この2名に,関西のベテラン山田弘志(関西宗、キャリアコンサルタント),60才を超えてなお毎回参戦を続ける巨漢及川博史(盛岡、建設業)がどう絡んでいくかが見もの。

 16年超重量級準優勝の平田祐二(浦和、県職員)が膝の怪我から復帰。柔道仕込みの投げと重いストレートを炸裂させ初優勝を狙う。16年重量級準優勝の幡谷政貴(長岡、デイサービス介護)吉永直樹(高尾、司法書士)のアグレッシブな戦いにも要注目。これらベテラン勢にニューカマー,加藤隆行(新潟IT関連),戦う大学教員、稲垣 茂(大野城)上山康次(西尾、会社員)がどう挑んでいくか。

4 重量級グループ

 一般部の階級分けであれば重量級となる,巨漢選手が多いのもシニアの特徴の一つ。年齢も全員が40越え。50歳を超えてもその戦いぶりは年齢を全く感じさせない。

 近年,一般部にも挑戦していた14年重量級優勝の西山 隆(草加、介護士)は意表をつくバックブローが持ち味。12年重量級優勝,13年超重量級優勝の岩崎時典(岸和田、会社員)は一撃で相手を昏倒させる重い打撃の持ち主。16年超重量級優勝の横山智樹(行徳、会社員),17年軽重量級準優勝の新出勝治(行徳、会社員)の2人もゴツゴツした組手で相手を圧倒して勝利の山を築いてきた。

17年重量級優勝の寺門勝利(草加、会社員)の伝統派スタイルの突きが再び猛威を振るうかにも注目。剛腕パンチで脅威のK0率を誇る塚田栄治(浦和、外資系保険会社)の戦い方は格闘空手を彷彿とさせる。大会常連の14年軽重量級準優勝の東出直哉(日進、スポーツジム支配人)がケガからの復帰戦を果たす。久しぶりの参戦となるヒットマン宮越洋尚(三沢、大手企業青森支社長),キャリアは浅いものの稽古量豊富な矢上太郎(仙台東、建設機器メーカー)の戦いぶりにも注目したい。

2018年全日本ジュニアの展望(試合予想)

 

柔道やレスリングのオリンピックに出場するような選手達は子供の頃からその競技に邁進してきたエキスパートであるように、北斗旗や世界大会で活躍する選手も「ジュニア出身者」であること、そんな時代が「空道」にも確実に到来している。
それは北斗旗の現役チャンピオンの8割を占めるジュニア出身者達の活躍を見れば疑う余地はないところだ。

現在 北斗旗や世界大会で活躍している少年部出身の選手達、その殆どが中学、高校生、U16やU19に達した時には10年選手となっている。
世界大会出場を目標に全国各地から選ばれたジュニアの選手達は現在・過去と全日本で上位入賞した選手のみに限定される狭き門。空道の未来はここにある。

 

U13女子42㎏以下
細身の身体からバネの利いた打撃を繰り出す相内春花(青森市)、同じ東北地区でしのぎを削る伊藤静紀(塩釜)、この両名にどこまでせまれるかが優勝への分かれ目となる

U13女子52㎏以下
同じ青森県地区からの選抜によって争われるこのクラス。他の地区の選手を寄せ付けない強さがある。
このクラスで無敵を誇る江上礼華(三沢)に対して、過去の試合では拮抗する試合を展開している附田瑞姫(三沢)がリベンジを狙う。

U13男子42㎏以下
最近急激に選手層の厚さを増してきた九州地区を征した 啓晟(筑紫野)、過去にも全日本入賞経験のある鈴木 廉(四日市)、福本章人(帯広)、激戦区・北信越を勝ち上がった佐藤洋平(新潟)らが日本代表に名乗りを上げる。

U13男子52㎏以下
東北の雄、酒井晃希(塩釜)に他の選手がどこまで迫まれるかが見もの。

U16女子43㎏以下
U13を制した稲垣琴愛(四日市)がU16でも頂上を狙う。立ち組みに力強さがある山口莉央(横須賀)、常勝チーム塩釜の佐藤あやめ(塩釜)、女子軽量クラス随一の俊敏性を見せる阿部ひなた(石巻)が切り崩しを狙う。

U16女子53㎏以下
打撃、立ち組、グラウンドどれをとっても隙のないオールラウンダーの小野寺玲奈(帯広)、絶対女王の高橋真綾(三沢)、驚異の新人小川さくら(帯広)と大変選手層の厚いこのクラスは目が離せない。

U16女子63㎏以下
2016年55㎏以下で全国優勝をしたこのクラス女子選手の中ではパワーファイターナンバー1の渡邊アリアナ(仙南)と、2016年U13で2017年はU16へ学年を上げ65㎏以下で優勝して2連覇を飾った小泉穂乃華(帯広)が3連覇と日本代表を狙う!

U16男子48㎏以下
駒形祐磨(帯広)小野空雅(塩釜)坂本琥珀(塩釜)ら現在・過去と数多くの全日本チャンピオンがひしめくこのクラス、誰が代表となるのか。

U16男子58㎏以下
清水亮汰2世と呼び声の高い吉田優太(帯広)、そのブロックには曽山隆聖(岸和田)赤間亮太(多賀城)の強豪が、反対側のブロックからは2017年50㎏以下で優勝した齋藤聖覇(仙南)と、決勝を争った佐々木龍希(小樽)が日本代表を目指してしのぎを削る。

U16男子68㎏以下
パワーファイター中村一粋(帯広)、それを迎え撃つはこのクラス最身を誇る佐藤裕太(横浜北)、過去入賞に輝いた選手を含め上位進出を狙う新人がひしめくこのクラス、日本代表を勝ち取るのは誰か!

U19女子215以下
第1回の世界女王・中村粋里花(帯広)、満を持してU19の舞台に登場。初の顔面だった今回の北海道予選では効果3を奪い勢いそのままに全国出場と波にのる。U19で先行してきた小西里玖(長久手)石川眞子(日進)が先輩の意地を見せる事が出来るか!

U19女子225未満 
168㎝の長身から打ち下ろされるジャブとストレート、リーチ差を生かしたパンチを得意とする末永あゆ(石巻)に対し、U16からU19にカテゴリーが変わり初の全日本となる吉村愛梨鈴(三沢)。リーチ差をはねのけて得意のパワーファイトの生かせる距離まで迫る事が出来るかが勝敗の分かれ目にとなるだろう。

U19男子230以下
古舘公平(総本部)が3連覇に挑む。対するこのクラスの対抗馬筆頭は第1回世界大会王者、2017年でもU16男子60㎏以下で優勝した遠藤春翔(塩釜)。顔面有りの初の試合、どこまで顔面に対して精度が上がっているかが見もの。

U19男子240以下
ジュニア界のカリスマとでも言うべき、酒井優太(塩釜)がU19に初めてデビューする。
今回の各地区の予選ではU16からU19へと上がったばかりだが、高校1年生において、高校2年、3年の先輩選手を翻弄する選手達が多く見てとれる。U16までの経験をきっちりと生かせていると言う事か。2017年U16の決勝戦で対戦した小野寺稜太(帯広)もそのうちの一人だ。先行する先輩選手達を押しのけて日本代表となる事が出来るか?

U19男子250以下 ワンマッチ
関西に曽山あり!北信越の覇者、鈴木力也が曽山4兄弟の次男、曽山智輝にどこまでせまれるのか?両名が、世界への切符をかけて激突。

U19男子270
これだけ大きな選手をU19のカテゴリーで見ることはまれだ。
今回のこの試合、U19内のカテゴリーにはクラスが無く 特別試合となる。
2017年90㎏以下勝利者の江上遼太郎(三沢)が182㎝95㎏、対する山田明怜(青森市)は177㎝115㎏とこれから大変期待されている選手だ。世界の強豪達と対峙する事は出来るのか?