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アジア・カップオープン 雑誌記事“やむおち”写真リポート

朝岡秀樹

今回の大会については7月下旬発売の「ゴング格闘技(GONKAKU)」「フルコンタクトKARATE」誌にて、リポートを執筆いたしました。ぜひ、ご覧ください!
両誌の作業が校了となりましたので、雑誌スペースの問題で“やむなく掲載から落ちた”写真を、ここに紹介したいと思います。徒然なるままに(微笑)。

試合内容にかんして | 試合以外のことにかんして

試合内容にかんして

230級。谷井、初戦はロシア選手からニーインベリー→極めで効果を奪い、完勝。多くのロシア人選手がそうであるように、相手は幼少期から空道を学んでいる選手だった。それに対し、谷井は大学入学まで、体育の授業を含めて一切、武道・格闘技の経験なし。日本の空道選手の多くが谷井同様18歳以降に空道を始めた者で、ロシアの多くの選手がその逆であるならば、もはや「発祥国なんだから、勝って当然」ではなく「勝ったら称賛!」が相応しいかと。一方で、“体格無差別”のサッカーの世界で、日本の女子選手たちがふた回りも大きな欧米の選手たちに競り勝っているというのに、階級別の世界で闘う者が“人種的なフィジカルの差”を訴えることはあってはならぬと思う。

-230級。準優勝したエルマル(青)とカザフスタンの選手の試合。エルマルのこの右パンチのブン回し方といったら、もう……(ため息)。2005年、2009年と、同級世界選手権2連覇を果たし、今秋、前人未到の3連覇に挑むコリャン・エドガーに輪をかけたような好戦的なスタイル。コリャンに影響を受けてか、-230級には身長160㎝未満で体重70㎏以上と思われる突進タイプの選手が増えているような気がした。ロシアがスラブ系からモンゴロイドまで多様な人種・多民族の国家であることが、-230級から+270級まですべてを制しうる要因なのかもしれない。ちなみに相手のカザフスタンの選手もとてもテクニカル。

-240級。田中(白)の初戦、モンゴルの選手を蹴りでいなし、完勝。しかしながら、モンゴル、韓国など、各国選手の試合ぶりをみて、日露以外の国のレベルの向上を感じさせられる大会でもあった。

-260級、加藤(白)がハリエフに敗れた試合。中国武術でいうところの“旋風脚”のように回し蹴りのフェイント→後ろ回し蹴りのフェイント→跳び回し蹴りを繰り出すハリエフ。映画の世界かと思わせるこのコンビネーションで、実際にKOを奪った実績をもつ。 このような打撃をもつ一方で、加藤戦の前の試合では、腕十字で一本勝ちを収めていた。

-240級準決勝。優勝したシャフカットに一本負けを喫し、顔を覆う谷井。

-240級準決勝。準優勝したアンドレイ(白)は、田中の蹴りのテクニックをパワーで押し切ってしまう。テクニックでいなし切れるか、パワーで押し込まれてしまうか、日本vsロシアの典型的な構図の試合内容だった。

-230級決勝。シャフカット(白)vsエルマル。写真をみてわかるとおり、両者とも野獣の如く、猛ダッシュで踏み込んで相手に襲いかかる。

-240級決勝。グレグハムvsアンドレイ(青)は本戦で効果を1つずつ奪い、副審の旗が2対2に割れる好勝負。延長でパンチの打ち合いからのハイキックで効果1を奪ったグレグハムが勝利を収めた。

-250級決勝。ニキタ(白)が下からの腕十字を極めるが、イゴルは耐え抜き、逆にパンチでダウンさせ、その後は投げを決めるなどして勝利。ウラジオストック(イゴル)vsモスクワ(ニキタ)の対戦だっただけに、逆転劇に、会場が大いに沸く。アナウンサーがモスクワの選手をコールする際には、ブーイングさえ起きていた。ロシア国内、東と西では対抗意識が強いようだ。東京VS大阪というような感じだろうか?

-260級決勝。ハリエフ(青)が棄権し、ハリトノフが優勝扱いに。「痛めていた脊椎を悪化させたくなかったし、練習仲間が相手だったから棄権した」とハリエフ。

-270級決勝。アンドレイ(青)vsコンスタンチン。激しいクロス合戦を制し、アンドレイが勝利。

女子無差別決勝。優勝したアリナ(白)のパンチはナックルを返して拳の甲側をぶち当てる、いわゆる“ロシアンフック”。

-230級入賞者

-240級入賞者

-250級入賞者

-260級入賞者

-270級入賞者

270+級入賞者

女子無差別入賞者

 

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試合以外のことにかんして

試合前々日の夕食会。ロシア、アルメニア、韓国、アゼルバイジャン、モンゴル、カザフスタンの支部長たちと東塾長。写真左端は“試合中、キレて選手を殴り飛ばす審判”のYouTube映像(実際はCMの撮影)で知られるフィリポフ。

試合前日、選手たちは、ホテルのフィットネスルームで軽く汗を流す。飯村コーチがミットを持ち、加藤コーチがストレッチを施し(左端)、稲垣チーフコーチが見守る(右端)。

大会ポスター。かっけ~。

大会前日の会見。「参加する日本の選手はトップクラスの選手なのか?」「アジアカップにしては代表チームが少ないのではないか?」といった忌憚なき質問が飛んだ。格闘技専門誌のようなメディアの取材でなく、一般メディアの取材だからこその事実確認といえよう。

試合当日。観客用の記念グッズ販売所に日本人選手が足を運ぶと、たちまち記念撮影をせがまれる。このリスペクトに、試合結果で応えたいものだ…。ちなみに、販売所では「空道オープンフィンガーグローブ」とか「空道ベースボールキャップ」とか、日本ではみたことのないロシアオリジナル商品が多々販売されていて大人気!

ポイント&タイムは電光掲示板で表示され、その操作はパソコンで行っていた。派手な舞台演出には学ぶところはないが、こういった設備にかんしては、おおいにロシアからノウハウの教授を受けるべきかと思う。

閉会式。またも東理事長をロシア勢に囲ませてしまった…。悔しむべし!

閉会式後。東理事長はロシアの少年たちのサイン攻めにあう。喜ぶべし!

大会後のパーティーにて。第1回世界選手権-230級決勝を争った小川支部長とデニス・シニューチン。今大会、共に審判を務めた。それにしてもシニューチンは随分と“大きく”なったような…。「コリャンは3連覇目指してトレーニングしてるよ」と情報提供しつつ「オレはコリャンに何度も勝ってるんだぜ」と自慢も忘れず。

-270級優勝者、アンドレイ。「93年、4歳のときにお父さんに道場に連れて空道をはじめたけど、12歳までは嫌々やっていました(笑)。それから好きになって、今、25歳で、指導員を職業としています。空道以外のスポーツの経験はありません。沿海州チームの90%は同じようなキャリアだと思います。」

270+級優勝者、エブゲニー。「6歳から剛柔流空手をやっていて、99年にその道場が空道連盟に加盟したので、それ以来空道をやっています。空道以外はスポーツの経験はないです。経営学の大学に、空道連盟のおかげで無料で通うことができました。卒業してからは、指導員をしています。世界選手権での目標?いや、まず、7月の最終選考で、代表チームに入ることが目標です。候補選手として、前回世界選手権優勝のイブラギン、準優勝のニコライらもいるなかで2人しか選ばれないから。」

女子無差別優勝者、アリナ。「4歳から空道をやっています。お父さんが空道をやっていて連れていかれて。今は、関税アカデミーで勉強していて、19歳です。卒業したら税関で働きます。他にも柔道をやっていて、ロシアの代表チームにいて国際大会にも出ているし、日本で日本の選手と練習したこともあるわ。キックボクシングのワールドカップでも優勝し、プロキックボクシングの試合にも出たし、サンボの全ロシア大会にも出場しました。世界選手権の代表に選ばれるかは分からないけど、チャンスはあります。今年の全国大会では優勝していますので。」

大会後のパーティー終盤は“いつもの”かんじに…。この情景に給仕の方々も驚いた様子。「ハラショー!」とは、もちろん言ってませんでした…。

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更新日 2014.7.15