韓国遠征レポート深澤元貴
1日目
押忍、総本部の深澤です。
この度、7月25日から28日までの4日間、韓国で開催された「第2回空道アジア選手権大会」および韓国セミナーに同行させていただきました。
大道塾に入門し7年目にして初めての国際戦となりますが、当初遠征のお話をいただいた時、メンバーに選んでいただき光栄であるという気持ちと同時に「果たして大丈夫なのか・・・」という思いが胸に去来しました。
しかしそんな私の葛藤を他所に、出発の日は刻一刻と近付き、気がつけば前日の深夜に虚ろな目をしながら試合用具一式をスポーツバッグに詰め込んでおりました。
羽田から2時間程度のフライトで韓国に到着してから、計量も難なくパスし、夜は菅原先輩とキム支部長にご案内いただき、韓国の伝統料理をいただきました。
ただ、その場においても不安な想いが延々と脳内を駆け巡り続けていて、その様子が表情にも出てしまっていたようで、色んな方にご心配をおかけしてしまいました。
2日目
初めて迎える韓国での朝。
午後からセミナーが行われるということで、次の日の試合に出場する選手も道衣に着替えて参加しました。
セミナーが終わってからは、少し自由時間があったので、まるで壊れたラジオのように「糖質取りたい。糖質取りたい」と連呼し続ける中村君(-230級代表)と一緒にソウルの街を散策し、屋台の食べ物を楽しみました。
何故か、いの一番にふかした芋を買う中村君
ソウルの街の風景を見下ろしながら黄昏れる中村君
夜には次の日の試合に出場する各国選手団を交えてのウェルカムパーティーが開催されました。
選手が階級ごとに皆の前に出て自己紹介をする際に「試合の次の日(7月28日)は自分の誕生日なので、勝って最高の誕生日を迎えたいです」と宣言したのですが、何故か途中から「彼女がいるか否か」が回答項目に加わっていました。
異性からのモテなさで言えば間違いなくワールドクラスである私は、「彼女います」と答える選手が出る度に、心に黒い沁みが広がっていくのを感じました。
3日目
そしてやってきた大会の朝。 前日の夜に抱いた暗い感情を闘う意志へと変換し、いざ――出陣。
試合は変則型の総当たり戦で3試合行いました。
1回戦、得意の絞め技で一本勝ちできたことで上手く波に乗れたのか、そのまま2試合目と決勝戦も寝技での一本勝ちで、優勝する事ができました。
ただ、対ロシアということを考えると、今回戦ったアジアの選手以上のフィジカルアドバンテージが向こうにあるため、そもそも寝技で上を取ることすら困難なのではないかということが不安材料として残ります。
真っ向から殴り合い、組み合ってテイクダウンを取るということは不可能である(そもそも日本人選手相手にもできない)ため、打・投・極の切り替えポイント、所謂「際の攻防」を制し、自分が得意とする局面に持って行くことができねば、世界大会では無様な姿を晒すだけだと実感しました。今回の結果に慢心することなく、残り3ヶ月を全力で駆け抜けたいと思います。
そして試合後の打ち上げでは、試合に参加した選手達と共に卓を囲み、飲んで歌って、多いに盛り上がりました。
他の方もレポートで触れているかと存じますが、「言葉だけでなく、肉体を通じて直接触れ合うからこそ真に通じ合うことができる」という塾長の言葉の通り、数刻前まで互いに憎くもないのに殴り合っていた相手と、試合が終われば肩を組んでお酒を飲むことできる、肉体言語たる武道を通じたコミュニケーションの素晴らしさを肌で感じました。
勿論、次にまた試合の場で出会った時には戦わねばなりません。それでも、今日のこの瞬間、この場にいる全員が空道という旗印の下、一つになれたという一体感を強く感じることができました。
更に嬉しいサプライズとして、プサンとテグの支部長をされているイム支部長から、自分の誕生日を祝っていただき、社会人になってからすっかり感度が鈍くなっていた自分の涙腺も決壊寸前でした。
イム支部長とは、自分が大学生だった頃に総本部で一緒に稽古をした間柄でしたが、今回の遠征で、少しは強くなった姿を見せることができたことが嬉しかったです。
そこから更に宴はエスカレート・・・もとい、怒濤の如く盛り上がり、記憶を無くした男達が一人また一人と脱落していく中、気が付けば深夜0時。
27回目の誕生日は黒木支部長たちと共に、ホテル近くの中華料理屋でラーメンを啜りながら迎えました。
お陰様で最高の誕生日になりました。押忍、ありがとうございます!
その後の出来事につきましては・・・既に忘却の彼方に葬り去りましたのでこの場では割愛させていただきます。押忍。
最後に
塾長、事務局長、由美子さん、中西明彦支部長、中西博之支部長、寺園先輩、黒木支部長、選手の皆さん、この度は貴重な経験をさせていただき、まことにありがとうございました。
また、菅原先輩、キム支部長、イム支部長、韓国では本当にお世話になりました。この場を借りて、御礼申し上げます。
日韓両国における空道の更なる発展と世界大会での活躍を祈りながら、韓国遠征レポートの締めくくりとさせていただきます。
更新日 2014.8.7