前半 7月29日解説:高橋英明 画像コメント:東塾長

※文中の身長、体重は計量時の数値。

7月29日(月)
9:00〜 試合場にて公開練習
9:30〜 開会式
10:00〜  試合(第1試合〜第6試合)
審判団 (主審)友次、(副主審)ゾーリン、(副審)小松、黒木、フィリポフ

第1試合:女子

青

BIANCA Goncalves(ブラジル)
[2012 the 2nd South America Exchange Match Female Division 1st place]

白

BYKOVA IRINA(ロシア) winner
[2009 the 3rd World KUDO Championships] Female Division 1st Place, [2010 KUDO World Cup] Female Division 1st place

初戦から世界大会女子チャンピオンのBYKOVAの登場とあって、我々関係者も緊張感をもって試合を見ていた。BIANCAの方が10cm身長が高いが、逆に体重はBYKOVAの方が4kg重い。年齢は1ヶ月違い。
両者、打撃の応酬から、早速白がパンチで効果。青も的確にヒットした蹴りがあったが効果までは至らず。青のBIANCAもよく動いていたが、やはり白のBYKOVAの動きの方が圧倒的によい。またも白のパンチがヒットし、一部の副審が効果の旗を挙げるが、旗3本までは至らずに成立せず。同様のケースがもう一度。青は打撃の後の掴みから投げに行こうとするが、白に返されるパターンが続き、本戦の2分が終了。女子は、有効1または効果2以上がなければ自動延長というルールを適用するので、延長戦に。
延長戦も、開始早々に白のBYKOVAがフックで効果。組み合いになってからも、白の力の方が勝る。白は青の蹴りに対して軸足を払ってグランドに入るも、時間切れ。
延長戦までで効果2をとった白のBYKOVAが、危なげなく「効果」優勢勝ちを収めた。

Bykovaの強烈な右ストで仰け反るBianca

投げに行くが潰される

Biancaタックルに行くが

恒例の、表彰で国旗を羽織るBykova

第2試合:男子 -230クラス

青 TOMOHIRO NAKAMURA(日本)winner
[2009 The 3rd World KUDO Championships] & [2011th World Cup] 3rd Place
白 OTGONTSEREN ENKMBAT(モンゴル)
[2008 the 1st Asia Championships -2301st Place],[2007-2011 All Mongol -230 1st place]

青NAKAMURAのほうが9cm身長が高いが、体重は白OTGONTSERENの方が7kg重く、パワーは白。年齢は2ヶ月違い。
打撃の後の組み合いから、白が青を頭の高さ近くまで持ち上げて投げ落としたが、審判は誰も効果をとらず。後で日本の審判に確認したが、小松は頭から落としたということで「反則」をとりかけたのに対して、黒木は「効果」の方に反応したとのこと。ただしいずれも旗を挙げるところまでは体が動かず。これも後から中村に聞いたら、首へのダメージがあったとのことであったが、見る角度の違いもあり、「反則」とも「効果」とも見れる場面であった。「効果」をとるか否かについては、強い投げではあったが、鮮やかさという点で効果の判断をしきれなかった。当の中村は、相手の道着を掴んでいたので、「効果にはならないはず」という判断であったが、審判とその角度によっては、白に「効果」が3本挙がることもあり得る場面であったと思われた。一方、白の「反則」という判断も十分にあり得た場面であったと思われた。その後、白の右フックがヒットする場面があったが、これも、審判は誰もとらず。まだ審判の体が温まっていない?
青の中村は組み合いから投げに行こうとするが、白は馬力に勝り、通じない。逆に返されるが、白がグランドで優勢になりながらもパンチをマスクに当ててしまい、白に「反則」。
男子は世界大会決勝戦と同じく、有効2、有効1+効果2、または効果3以上がなければ自動延長というルールを適用するので、延長戦に。
延長に入ってからも、組んでからの投げの掛け合いは、パワーのある白が優勢。パンチの打ち合いから白が投げて上になるも、青の中村が下から攻め、送り襟絞めにより「一本」勝ち。
青の強みは最後に出せたが、白も自力を見せた試合であった。次に当たるときは、当然、中村のグランドに注意して来るだろう。

左ローを抱えて

腰の重い中村を、易々と肩より上に持ち上げる!

右で道着を掴んで回転したから良かったが・・・

腕十字から送り襟で一本

(画像コメント補足)「柔道熟達者の中村だから受け身を取れたが、 持上げる勢いで爪先立ちになり、バランスを崩し頭から投げ落としてる!!一歩間違ったなら大変な事になっていた!!一発失格のケースだ!!乞う審判猛反省」

第3試合:男子 -240クラス

青 RONALD VARGAS(コロンビア)
[2010 Colombian Taekwondo Championships 2nd place / KUDO -230 3rd place]
白 NICOLAS NUNEZ(チリ)winner
[2012 South America Exchange Match -240 2nd Place]

青RONALDと白NICOLASは、身長・体重ともにほぼ同じ。年齢は白が7歳上。コロンビアの選手の登場とあって、満席の会場からは割れんばかりの声援。 青は、前蹴りをキャッチされて倒されたが、反転して青が上に。白が下からヒールホールドに行き、「反則」。青はテコンドウの華麗な足技を見せ、観客を沸かせる。青、組み合いから投げるも、白がガードポジションをとって膠着。両者ポイントなく、延長戦に。
延長戦に入ってからは、両者、距離をとっての打撃の出し合いが続く。白が青の蹴りをキャッチし軸足を払って倒すも、倒れた相手を蹴ってしまい、白「反則2」に。
青は疲れが見えてきたが、白の動きは変わらず。白はまたも青の軸足を払って倒す。この後、同じようなパターンが続き、白が足払いからの極めで「効果」。再度、投げからの「極め」により「効果」。
「白の効果2」対「青の効果1(反則2による)」により、白の「効果」優勢勝ち。

Nicolasヒールホールドで「反則」

バックハンドが危うく極まりそうだった!!

掴まないテコンドー出身だからか接近はまだ

この体勢からも足払いをされていた

第4試合:男子 -250クラス

青 CARLOS W TREJO(メキシコ)
(KUDO Mexico Branch Chief)
白 YANIS CANDV(フランス)winner
[2009 Italy Intl Match -250 1st Place]

青CARLOSと白YANISは、身長・体重ともにほぼ同じ。ただし年齢は青が9歳上。
見合ったままの状態が30秒続き、両者に「反則1」。その後、白が青の回し蹴りをキャッチしてグランドへ。白が左膝で青の首根っこを押さえつけ、極めの動作4本で「効果」。そのまま腕ひしぎ十字固めに行って、「一本」勝ち。

青の選手はメキシコ支部長で、元キックボクシング及び柔術のメキシコ代表からの空道転身組だが、なんと本業は部下が500人いるという自動車販売会社の重役(トヨタも扱ってるという)だが、非常な“武道”好き。「試合前日まで徹夜で仕事をしていたが、エントリーした以上棄権はしたくなかった」と敢えて出場の為だろうか、体の動きがこなれていず、得意の寝技に行った所を、土田支部長のもとで打撃、寝技共に鍛えられて日本、ロシア、ウクライナといった上位常連国に次いで高いレベルの試合をするヤニスに逆に捉えられた。「“サムライ”としてまだ向上する事を諦めない」とは試合後の談。

右ストレートを貰うTrejo

ニー・インで効果

そのまま腕十字

 

第5試合:男子 -260クラス

青 SAMOKHIN IGOR(ウクライナ)
(KUDO Ukraine Branch Chief)
白 JAIME GOMES(チリ)winner
[2011/South America -270 1st Place / 2012 -270 3rd place]

青SAMOKHINと白JAIMEは、身長・体重ともにほぼ同じ。ただし年齢は青が9歳上。第4試合、第5試合ともに、青は国を代表する支部長。
組み合いから、白が振り回して青を倒す。青が上下反転するも、白が下から青の腕をとって攻める。30秒の時間切れ。その後も、パンチ1・2発の後での組み合いが続く。場外で「まて」がかかった後も打撃を継続し、両者に「反則1」。白が組み合いから青を倒してマウントポジションに。マウントパンチでの効果をとりに行くも、青はそれを阻止して時間切れ。
延長に入ってからも、パターンは変わらず。組み合いの時間が長く、両者疲れるパターン。
白が上になってグランドに入るも、青はマウントを阻止。白は、疲れが見え始めるも、組み合いからのパワーは白が勝る。青のパンチに白がタックルで入り、グランドで攻めるも、反則を犯して白に「反則1」。その後、青が白の後ろ回し蹴りをキャッチして倒し、マウントポジションをとるも、上からのパンチを当てて、今度は青に「反則1」。
判定は青3対引き分け3で、「引き分け」。両者の疲れ様を見たら、エキジビションマッチとしては、ここで勝敗を決してあげてもよかったと思った。 再延長に入り、白のフックが当たり、旗は挙がるも効果には至らず。そのまま白が上でグランドに入ったところで青が白のマスクを掴んで「反則2」。その後は両者ともに疲れが目立ち、単調な組み合いに終始。白が青のフックにタックルで入りグランドになるも、膠着。
判定は、青の反則2で白に効果1が与えられたことから、白の優勢勝ち。両者、疲れ切った試合。
両者ともに、相手によってどのような戦い方をするのかの戦術が見えない試合であり、特に指導者としては反省が必要。違った戦い方ができたはず。

投げに行くが

右ストレート

平塚審議委員長「良し!Samokhin良く戦った」

 

第6試合:男子 270+クラス

青 HISAKI KATO(日本)winner
[2010,2012 All Japan Open Category 1st Place]
白 ANDRES OSORIO(チリ)
[2011 Chili MMA Heavy Weight Champion]

青KATOのほうが2cm身長が高いが、体重は白ANDRESの方が6kg重い。年齢は青が3歳上。
パンチ・蹴りの応酬から、青が、掴んでのパンチで「効果」。その後、白の下段蹴りに青が体勢を崩されるも、すぐに下段蹴りで反撃。青は、掴んでの打撃でポイントをとる戦術の模様。白は、掴まれないように場外付近を回り始める。反則ギリギリかと見た。
本戦は「効果1」のみのために延長に。
延長戦に入り、下段蹴りの応酬から、青が後ろ足での前蹴り。その後もパンチ・蹴りの応酬があるも、効果には至らず。青は、一定の距離を取りながら蹴りを出すも、白が手を出せずに、白に「反則1」。青の前蹴りを白がキャッチして投げに行くも、青は倒されない。そのまま試合終了。
判定となったが、5-0で青の「効果」優勢勝ち。
青KATOは拳を痛めていたそうだが、それであれば、もっと蹴りを多用するなど、戦い方に臨機応変な多様性がほしいところ。特にエキジビションマッチであることや相手よりも格上であることを考えると、もっと「見せる」試合ができてもよかったのではないか。

先ずはインローで牽制

得意の掴んでの左ストレートがきれいに入る

Osorio渾身の右ストレート

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