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「Kudo Asia Cup Open」について

田中俊輔

この度、ロシア ウラジオストックで開催された「Kudo Asia Cup Open」について御報告させて頂きます。
今回の遠征はもちろんいつもの様に、試合以外でもエキサイティングな事はたくさんありましたが、今回はあえて真面目に(?)試合内容に集中した内容にしたいと思います。
そうすることで、他の日本代表選手やこれから世界を目指す日本の若い選手たちの役に立てるはずと考えたからです。

今大会には地元ロシアを中心にモンゴル、韓国、カザフスタン、アゼルバイジャン、アルメニアからフィジカル面で非常に高い能力を持つ選手が出場。

-230では日本から谷井翔太が参戦。初戦は相手のスピーディな動きになかなか噛み合わないように見えたが、打撃を反応よくかわし、組み際では持ち前の絶妙な崩しのテクニックでテイクダウンを取りグラウンドで素早く効果を取る。
準決勝でも同様にいい展開を作っていたものの、グラウンドでフロントチョークを極められ一本。
ロシア選手の打撃(主にパンチ)は、強さはあるがモーションも大きく大振りなので割とディフェンスしやすい。しかし、組んでからのパワーとスピードには日本選手の想像を大きく上回るものがある事を感じる試合だった。

女子の吉倉さん、初戦の相手は割と小柄なロシア選手だったが、早いパンチの回転と前に出る圧力を使って手数で圧倒していた。女子の試合は全体的にパンチの打ち合いが多く、男子に比べ組みの展開が少ない。

-240では、内田さんが2人のロシア選手を倒し準決勝進出。2試合とも相手のパンチに対して、かなり体勢を低くし両足タックルに近い形で素早く投げグラウンドの極め突きで効果を奪った。足技が少なくパンチのモーションが大きい相手に対しては非常に有効な戦法だと感じた。
同じく-240で出場した僕の初戦はモンゴルの選手。強いパンチでプレッシャーをかけてくるのに対し、まずはひたすら前蹴りを合わせ後半で倒しに行く作戦だったが、なかなか相手のペースを崩すことは難しかった。
準決勝のロシア選手との試合も同様。パンチに何度も前蹴りを合わせ、スタミナを削ぎ落としたものの、その後の展開に繋ぐことが出来ず敗戦。決定的な攻めが必要だった。

-260の加藤和徳は初戦で前世界大会王者、カリエフ アダンと対戦。
回転系足技を多用する選手で、試合開始直後のローリングソバット(?)で加藤はスリップダウン。その後もアダンは何度も回転系を出してきたが加藤はそれに前蹴りを合わせるなど十分に見切っていたようだったが、惜しくも判定負け。外国人選手特有の回転系には十分注意が必要だ。

ロシアをはじめ海外のフィジカル面で高い能力を持つ選手に対抗するために、フィジカル面、特にパワーを徹底して強化することはもちろん。相手の弱点を理解し、十分な作戦を立てることが重要。

まず打撃の面で言えば、海外の多くの選手が大振りのフックを多用している。フットワークを大きく使うのでボディに対するカウンターが非常に有効だ。 はじめから顔を狙いに行くのは、大きく頭を振るボディワークを使う相手に対して危険を伴う。
また、スタンスを広く取り、踏み込が大きい相手に対してはインローや足払いで出鼻をくじく事で相手のペースを乱すのも有効だと思う。

組みの展開で言えば、海外勢の多くの選手はタックルや豪快な担ぎ系の投げをよく使うが、空道特有の掴んでの打撃を使う選手はほとんど見られない。しかし、だからと言ってパワーのある海外選手に対し、安易に掴んでパンチや頭突き、肘膝を狙うのは難しい。
なので必ず「組み際を制す」ことが重要。
打撃の展開から組み合う瞬間に、いかに自分の有利な形を作れるか。それを研究する必要がある。

寝技に関して、海外の選手はかなり荒削りだと言えるが、立ち技以上にパワーがものを言う寝技では、予想以上の力の強さに注意が必要。
スタミナのペース配分をあまり考えない海外の選手に対しては、無理に一本を狙いに行くよりも、グラウンドの30秒間で相手のスタミナを削ることを考えてもいい場合もある。
スタミナを削ればその後の立ち技の展開も有利になる。

以上が今大会で海外の選手と対戦し僕が感じたことです。今回は第3回世界大会以来、約5年ぶりにロシアの選手と対戦しました。
海外のレベルは上がっていますが、作戦の立て方次第で十分に勝機はあると感じています。
今回の経験を活かし、11月の世界大会までしっかり準備していきます。

今回このような貴重な経験をさせて下さった東塾長はじめ、お世話になった事務局長、由美子さん、先生、先輩方、一緒に出場した選手のみなさん。本当にありがとうございました。今後も大道塾の未来を担う者の一人としての自覚を持って頑張ります!押忍

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更新日 2014.6.20